RAID の概念についての理解

Storage Management は、個別ディスクの冗長アレイ(RAID)技術によって、ストレージ管理機能を提供します。 Storage Management について理解するには、RAID についての概念だけでなく、システムにおいて RAID コントローラとオペレーティングシステムがディスク容量をどのようにとらえるかについてもある程度把握しておく必要があります。このサブセクションでは、RAID とは?可用性とパフォーマンスのためのデータストレージの編成RAID レベルと連結の選択 など、基本的なストレージの概念について説明します。

RAID とは?

RAID は、システム内に搭載または連結される物理ディスク上に保管されるデータを管理するためのテクノロジです。 RAID の重要な要素は、複数の物理ディスクを組み合わせて 1 つの拡張ディスク容量のように処理することができるように物理ディスクをスパンできる能力です。 RAID のその他の重要な要素として、ディスク障害が発生したときにデータを復元できる冗長データを維持できる能力を挙げることができます。 RAID では、ストライピング、ミラーリング、パリティなどの異なる方法を使用してデータの保存と再構成を行います。 RAID レベルには、データを保存して再構成するのに異なる方法を使う異なるレベルがあります。 RAID レベルには、読み書きパフォーマンス、データ保護、ストレージ容量に関して異なる特徴があります。 すべてのレベルで冗長データが維持されるわけではありません。つまり一部の RAID レベルでは失われたデータを復元できません。 選択する RAID レベルは、優先事項がパフォーマンスか、保護か、ストレージ容量かによって変わってきます。

メモ:RAID の実装には、RAB(RAID Advisory Board)が定義した仕様を使います。 RAB は RAID レベルを定義しhますが、実際の RAID 仕様は RAID レベルを商用に実装する各ベンダーによって異なる場合があります。 特定のベンダーが使用する実装によって、読み取りおよび書き込みパフォーマンスとデータの冗長性の度合いが影響を受けることがあります。

ハードウェアとソフトウェア RAID

RAID は、ハードウェアでもソフトウェアでも実装できます。 ハードウェア RAID を使用するシステムには、RAID レベルを実装し、物理ディスクへのデータの読み書きを処理する RAID コントローラがあります。 オペレーティングシステム提供のソフトウェア RAID を使用するときは、オペレーティングシステムが RAID レベルを実装します。 このため、ソフトウェア RAID をそれだけで使用するとシステムパフォーマンスを低下させることがあります。 ただし、ソフトウェア RAID をハードウェア RAID ボリュームの上で使用することによってパフォーマンスと RAID ボリュームの設定の多様性を向上させることができます。 たとえば、2 つの RAID コントローラ全体でハードウェア RAID 5 ボリュームのペアをミラーリングすることによって RAID コントローラの冗長性を提供することができます。

メモ:Storage Management はハードウェア RAID のみをサポートします。

RAID についての概念

RAID では特定の方法を使用してデータをディスクに書き込みます。 これらの方法を使うと、RAID でデータの冗長性またはパフォーマンスの向上を実現できます。 次の方法があります。

ミラーリング — 1 つの物理ディスクから別の物理ディスクにデータを複製します。 ミラーリングを行うと、同じデータの 2 つのコピーを異なる物理ディスクに保管することでデータの冗長性が得られます。 ミラーのディスクのうち 1 つが失敗すると、システムは影響を受けていないディスクを使用して動作を続行できます。 ミラーの両側には常に同じデータが入っています。 ミラーのいずれの面も作動可能な面として機能します。 ミラーされた RAID ディスクグループは、読み取り操作で RAID 5 ディスクグループのパフォーマンスと比較できますが、書き込み操作では速度が優れています。
ストライピング — 仮想ディスク内のすべての物理ディスク全体にわたって、データを書き込みます。 連続仮想ディスクデータからなる各ストライプは、順次パターンを使って固定サイズ単位でマッピングされた仮想ディスクの各物理ディスクをアドレスします。 たとえば、仮想ディスクが 5 つの物理ディスクを備えている場合、ストライプは物理ディスクに継続せずに、物理ディスクの 1 から 5 にデータ書き込みをします。 ストライプで使用される容量は各物理ディスクと同じです。 物理ディスク上に存在するストライプ部分はストリライプエレメントです。 ストライピング自体にはデータの冗長性は提供されていません。 ストライピングをパリティと組み合わせるとデータの冗長性が確保されます。
ストライプサイズ — パリティディスクを含まないストライプによって消費される総ディスク容量。 たとえば、ストライプは 64KB のディスク容量で、ストライプの各ディスクには 16KB のデータが存在すると考慮してください。 この場合、ストライプサイズは 64KB でストライプエレメントサイズは 16KB です。
ストライプエレメント — 単一物理ディスク上のストライプの一部分。
ストライプエレメントサイズ — ストライプエレメントによって消費されるディスク容量。 たとえば、ストライプは 64KB のディスク容量で、ストライプの各ディスクには 16KB のデータが存在すると考慮してください。 この場合、ストライプサイズは 16KB でストライプエレメントサイズは 64KB です。
パリティ — ストライピングとアルゴリズムを組み合わせて使用することによって維持される冗長データ。 ストライピングを行っているディスクの 1 つが失敗すると、アルゴリズムを使用してパリティ情報からデータを再構成することができます。
スパン — 物理ディスクグループのストレージ容量を RAID 10、50 または 60 の仮想ディスクに組み合わせるために使用する RAID 技術。

RAID レベル

各 RAID レベルではミラーリング、ストライピング、パリティを併用することでデータ冗長性や読み書きパフォーマンスの向上を実現します。 各 RAID レベルについての特定情報は、RAID レベルと連結の選択 を参照してください。

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成

RAID は、ディスクストレージをまとめるための異なる方法または RAID レベルを提供します。 一部の RAID レベルでは、ディスクエラーがあってもデータを復旧できるように冗長データが維持されます。 RAID レベルが異なると、システムの I/O(読み書き)パフォーマンスが影響を受けることがあります。

冗長データを維持するには、追加の物理ディスクを使用する必要があります。 ディスク数が増えれば、ディスク障害の可能性も増加します。 I/O パフォーマンスに違いがあるため、オペレーティング環境のアプリケーションと保管するデータの性質によっては 1 つの RAID レベルだけで十分なことがあります。

連結または RAID レベルを選択する場合は、パフォーマンスとコストに関する次の注意事項が適用されます。

可用性または耐障害性 —可用性または耐障害性はシステムのコンポーネントの 1 つに障害が発生しても、動作を継続し、データへのアクセスを提供することができるシステムの能力を指します。RAID ボリュームでは、可用性またはフォールトトレランスは冗長データを維持することによって達成できます。 冗長データにはミラー(複製データ)とパリティ情報(アルゴリズムを使用したデータの再構成)が含まれています。
パフォーマンス — 選択する RAID レベルによって、読み取りおよび書き込み性能を向上または低下できます。 ある RAID レベルの方が特定のアプリケーションには適していることがあります。
コスト効率 — RAID ボリュームに関連付けられている冗長データまたはパリティ情報を維持するには、追加のディスク容量が必要です。 データが一時的だったり簡単に複製できたり不必要な場合は、データ冗長のコストが増える正当性を釈明できないことがあります。
平均故障間隔(MTBF)— データ冗長性を維持するために追加ディスクを使用することは、いかなる時点においても、ディスク障害の可能性を増加させます。 冗長データが必要な場所ではこれは避けられませんが、組織のシステムサポートスタッフの仕事量が増えることになります。
ボリューム — ボリュームは、単一の非 RAID 仮想ディスクのことを指します。 O-ROM などの外部ユーティリティを使ってボリュームを作成できます。 Storage Management はボリュームの作成をサポートしません。 ただし、十分な空き容量がある場合は、ボリュームを表示し、これらのボリュームからドライブを使って新しいボリュームディスクや既存の仮想ディスクの Online Capacity Expansion (OCE) を作成できます。 Storage Management ではボリュームの名前変更と削除が可能です。

詳細については、RAID レベルと連結の選択 を参照してください。

RAID レベルと連結の選択

RAID または連結を使用して、複数のディスクのデータストレージを制御することができます。 それぞれの RAID レベルまたは連結には異なるパフォーマンスとデータ保護機能があります。

各 RAID レベルまたは連結でデータを保管する方法と、それぞれのパフォーマンスおよび保護機能について次のサブセクションで説明します。

連結
RAID レベル 0(ストライピング)
RAID レベル 1(ミラーリング)
RAID レベル 5(分散パリティを用いたストライピング)
RAID レベル 6(付加分散パリティを用いたストライピング)
RAID レベル 50(RAID 5 セットにまたがったストライピング)
RAID レベル 60(RAID 6 セットにまたがったストライピング)
RAID レベル 10(ミラーセットにまたがったストライピング)
RAID レベル 1-連結(連結ミラー)
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
非 RAID

連結

Storage Management では、連結は 1 つの物理ディスクまたは複数の物理ディスクにまたがるディスク領域にデータを保管することを指します。 1つ以上のディスクにスパンする場合、連結によって、オペレーティングシステムは複数の物理ディスクを 1 つの物理ディスクとして表示することができます。

1 つのディスクに保管されているデータは、単純にボリュームとして認識されます。 このディスクは、1 つの物理ディスクだけで構成される仮想ディスクとして定義することもできます。 複数の物理ディスクにまたがるデータはスパンされたボリュームと見なすこともできます。 複数の連結されたディスクは、複数の物理ディスクから構成された 1 つの仮想ディスクとして定義することもできます。

同じディスクの別の領域に広がる動的ボリュームも連結していると見なされます。

連結ボリュームまたはスパンされているボリュームの物理ディスクが失敗すると、ボリューム全体が使用不可能になります。 データが冗長されていないため、ミラーリングしたディスクまたはパリティ情報からデータを復元することはできません。 バックアップから復元することだけが考えられる唯一のオプションです。

連結ボリュームは冗長データの維持するためにディスクスペースを使用しないので、ミラーまはパリティ情報を使用するボリュームよりもコスト効率が高くなります。 連結ボリュームは、一時的で容易に複製でき、データ冗長にかかるコストの正当性を示す必要のないデータに適しています。 それに加えて、連結ボリュームは別の物理ディスクを追加することによって容易に拡張することができます。

図 3-1. ディスクの連結

n 個のディスクの容量を持つひとつの大きな仮想ディスクとして、n 個のディスクを連結します。
データは最初のディスクがいっぱいになるまで書き込まれてから 2 番目のディスクに移ります。
冗長データは保存されません。 ディスクに不具合があると、大きな仮想ディスクにもエラーが発生します。
パフォーマンスは向上しません。
冗長性なし。

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

RAID レベル 0(ストライピング)

RAID 0 はデータのストライピングを使用します。つまり物理ディスク全体を通じて同じサイズのセグメントにデータを書き込みます。 RAID 0 ではデータの冗長性は提供されていません。

図 3-2. ディスクのストライピング

RAID 0 の特徴

n 個のディスクは、(最小ディスクサイズ)* n 個分のディスク容量を備えた 1 つの大きな仮想ディスクとしてまとめられます。
データは各ディスクに順番に保存されます。
冗長データは保存されません。 ディスクに不具合があると、大きな仮想ディスクにもエラーが発生し、データを再構成する方法はありません。
読み書きのパフォーマンスが向上します。

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

RAID レベル 1(ミラーリング)

RAID 1 は冗長データを維持する最も簡単な方法です。 RAID 1 ではデータは 1 つまたはそれ以上の物理ドライブにミラーリングまたは複製されます。 いずれかの面のミラー上で物理ディスクが失敗すると、他面のミラー上にある物理ディスクを使ってデータを再構成できます。

図 3-3. ディスクのミラーリング

RAID 1 の特徴

n + n ディスクを n ディスクの容量を持つ 1 つの大きい仮想ディスクとしてグループ化します。 Storage Management が現在サポートしているコントローラでは、RAID 1 の作成時に 2 台のディスクを選択できます。これらのディスクはミラーリングされるので、合計記憶容量は 1 台のディスクと同じになります。
データは 2 つのディスクに複製されます。
いずれかのディスクで障害が起きても、仮想ディスクの作業は中断されません。 データは障害のあったディスクのミラーから読み取られます。
読み取りパフォーマンスが向上しますが、書き込み性能は若干低下します。
冗長性でデータを保護します。
RAID 1 では冗長性を使わずにデータを保存するのに必要なディスク数の 2 倍のディスク領域を使用するため、ディスク容量の点では「高価」です。

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

RAID レベル 5(分散パリティを用いたストライピング)

RAID 5 では、データのストライピングをパリティ情報と組み合わせることでデータの冗長性を提供します。 物理ディスクをパリティに専門に割り当てるのではなく、パリティ情報は物理グループ内のすべての物理ディスク全体にストライピングされます。

図 3-4. 分散パリティを用いたディスクのストライピング

RAID 5 の特徴

n 個のディスクを(n-1)のディスクの容量を持つ 1 つの大きい仮想ディスクとしてグループ化します。
冗長情報(パリティ)はすべてのディスクに交互に保管されます。
ディスクに不具合があると、仮想ディスクは一応作動しますが、低下状況で作動します。 データは残ったディスクから再構成されます。
読み込み性能は向上しますが、書き込み性能は若干低下します。
冗長性でデータを保護します。

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

RAID レベル 6(付加分散パリティを用いたストライピング)

RAID 6 では、データのストライピングをパリティ情報と組み合わせることでデータの冗長性を提供します。 RAID 5 と同様、パリティは各ストライプに分散されています。 しかし、RAID 6 は、追加物理ディスクを使用し、ディスクグループの各ストライプがパリティ情報を搭載した 2 つのディスクブロックを維持すべくパリティを維持しています。 追加パリティは、2 つのディスクに障害が発生した場合にデータ保護を確保します。 図 3-5 では、2 組みのパリティ情報が P および Q として識別されています。

図 3-5. RAID 6

RAID 6 の特徴

n 個のディスクを(n-2)のディスクの容量を持つ 1 つの大きい仮想ディスクとしてグループ化します。
冗長情報(パリティ)はすべてのディスクに交互に保管されます。
仮想ディスクは、最大 2 つのディスク障害までに対して機能し続けます。 データは残ったディスクから再構成されます。
読み込み性能は向上しますが、書き込み性能は若干低下します。
データ保護の冗長性は強化されます。
パリティには、1 スパン当たり 2 つのディスクが必要です。 RAID 6 はディスク領域の点で高価です。

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

RAID レベル 50(RAID 5 セットにまたがったストライピング)

RAID 50 は 2 つ以上の物理ディスクにまたがってストライピングされます。 たとえば、3 つの物理ディスクを使って実装され、さらに 3 つの物理ディスクを持ったディスクグループを使って続行される RAID 5 ディスクグループは RAID 50 になります。

ハードウェアで直接サポートされていなくても RAID 50 を実装することは可能です。 このような場合、複数の RAID 5 仮想ディスクを実装してから RAID 5 ディスクをダイナミックディスクに変換することができます。 それからすべての RAID 5 仮想ディスク全体にスパンされるダイナミックボリュームを作成することができます。

図 3-6. RAID 50

RAID 50 の特徴:

n*s のディスクを s*(n-1)ディスクの容量を持つ 1 つの仮想ディスクとしてグループ化します。ここで s はスパンの数を、n は各スパンの中のディスク数を表します。
冗長情報(パリティ)は、各 RAID 5 スパンのすべてのディスクに交互に保管されます。
読み込み性能は向上しますが、書き込み性能は若干低下します。
RAID 5 と同じ量のパリティ情報が必要となります。
データはすべてのスパン全体を通じてストライプされます。 RAID 50 はディスク領域の点で高価です。
メモ:PERC 4/SC、4/DC、4e/DC、4/Di、4e/Si、および 4e/Di コントローラにおいて、異なるサイズのディスクで構成されるディスクグループに RAID 50 を使用する場合には、特別な考慮が必要になります。 詳細については、PERC 4/SC、4/DC、4e/DC、4/Di、4e/Si、および 4e/Di における RAID 10 および RAID 50 に関する注意事項 を参照してください。

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

RAID レベル 60(RAID 6 セットにまたがったストライピング)

RAID 60 は、RAID 6 として構成される物理ディスクの 2 スパン以上にまたがってストライピングされます。たとえば、4 つの物理ディスクを使って実装され、さらに 4 つの物理ディスクを持ったディスクグループを使って続行される RAID 6 ディスクグループは RAID 60 になります。

図 3-7. RAID 60

RAID 60 の特徴

n*s のディスクを s*(n-2)ディスクの容量を持つ 1 つの仮想ディスクとしてグループ化します。ここで s はスパンの数を、n は各スパンの中のディスク数を表します。
冗長情報(パリティ)は、各 RAID 6 スパンのすべてのディスクに交互に保管されます。
読み込み性能は向上しますが、書き込み性能は若干低下します。
冗長性の向上によって、RAID 50 よりも優れたデータ保護を提供します。
RAID 6 と同じ量のパリティ情報が比例的に必要となります。
パリティには、1 スパン当たり 2 つのディスクが必要です。 RAID 60 はディスク領域の点で高価です。

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

RAID レベル 10(ミラーセットにまたがったストライピング)

RAB は、RAID レベル 10 を RAID レベル 1 の実装とみなしています。RAID 10 は物理ディスクのミラーリング(RAID 1)とデータストライピング(RAID 0)の組み合わせです。 RAID 10 で、データは複数の物理ディスクに渡ってストライプされます。 ストライプされたディスクグループは別の物理ディスクセットにミラーされます。 RAID 10 はストライプのミラーとみなされています。

図 3-8. ミラーリングされたディスクグループでのストライピング

RAID 10 の特徴

n 個のディスクを(n/2)ディスクの容量を持つ 1 つの大きな仮想ディスクとしてグループ化します。ここで n は偶数を表します。
データのミラーイメージは物理ディスクのセット全体にストライピングされます。 このレベルでは、ミラーリングを通じて冗長性が提供されます。
いずれかのディスクで障害が起きても、仮想ディスクの作業は中断されません。 データはミラーリングされた残りのディスクのペアから読み取られます。
読み取りおよび書き込みパフォーマンスが向上します。
冗長性でデータを保護します。
メモ:PERC 4/SC、4/DC、4e/DC、4/Di、4e/Si、および 4e/Di コントローラにおいて、異なるサイズのディスクで構成されるディスクグループに RAID 10 を使用する場合には、特別な考慮が必要になります。 詳細については、PERC 4/SC、4/DC、4e/DC、4/Di、4e/Si、および 4e/Di における RAID 10 および RAID 50 に関する注意事項 を参照してください。

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

RAID レベル 1-連結(連結ミラー)

RAID 1-連結は、複数の物理ディスクペアに渡ってスパンされる RAID 1 ディスクグループです。 これは RAID 1 の冗長性と連結のメリットを組み合わせたものです。この RAID タイプではストライピングは使用されません。

メモ:Storage Management では、RAID 1- 連結仮想ディスクの作成や、RAID 1- 連結への再設定はできません。 Storage Management では RAID 1- 連結仮想ディスクのモニタのみができます。
図 3-9. RAID 1 - 連結

関連情報

可用性とパフォーマンスを高めるためのデータストレージの編成
RAID レベルと連結パフォーマンスの比較
コントローラでサポートされている RAID レベル
仮想ディスクあたりのディスク数
コントローラあたりの仮想ディスク最大数

PERC 4/SC、4/DC、4e/DC、4/Di、4e/Si、および 4e/Di における RAID 10 および RAID 50 に関する注意事項

PERC 4/SC、4/DC、4e/DC、4/Di、4e/Si、および 4e/Di コントローラにおいて、異なるサイズのディスクで構成されるディスクグループに RAID 10 または 50 を使用する場合に、特別な考慮が必要になります。 RAID 10 または RAID 50 を実装する場合には、ディスク容量をスパンしてストライプとミラーを作成します。 スパンサイズはさまざまで、異なるディスクサイズに適合できるようになっています。 ただし、ディスクグループ内の最も大きなディスクの一部が使用できなくなり、無駄なディスク容量が発生する可能性があります。 たとえば、次のようなディスクを持ったディスクグループについて見てみましょう。

ディスク A = 40 GB

ディスク B = 40 GB

ディスク C = 60 GB

ディスク D = 80 GB

この例では、ディスク A、ディスク B、およびディスク C と D の 40 GB までが完全にいっぱいになるまで、データは 4 つすべてのディスクに渡ってスパンされます。 その次は、ディスク C がいっぱいになるまで、ディスク C と D に渡ってスパンされます。 この時点で、ディスク D のディスク空き容量は 20 GB になります。 冗長データを作成するためのディスク容量がこのディスクグループにないため、このディスク空き容量にはデータを書き込むことはできません。

RAID レベルと連結パフォーマンスの比較

次の表は、最も一般的な RAID レベルに関するパフォーマンスの特徴を比較したものです。 この表は、RAID レベルを選択する際の一般的な指針としてご利用ください。 RAID レベルをホストする前に、特定の環境条件を評価してください。

メモ:次の表では、Storage Management でサポートされているすべての RAID レベルが表示されているわけではありません。 Storage Management でサポートされるすべての RAID レベルの詳細については、RAID レベルと連結の選択 を参照してください。

表 3-1. RAID レベルと連結のパフォーマンス比較  を参照してください。

RAID
レベル

データ
可用性

読み取りパフォーマンス

書き込みパフォーマンス

パフォーマンスの再構成

必要な最小ディスク数

提唱されている使用方法

連結

ゲインなし

ゲインなし

ゲインなし

なし

コントローラによって 1 または 2。

冗長 RAID レベルよりも高いコスト効率。 非重要データを使用。

RAID 0

なし

大変良好

大変良好

なし

N

非重要データ

RAID 1

優秀

大変良好

2N
(N = 1)

小規模のデータベース、データベースログ、重要情報

RAID 5

連続読み取り:良。 トランザクション読み取り:大変良好

ライトバックキャッシュを使っていない限り普通

普通

N + 1
(N = ディスクが最低限 2 台)

データベース、および読み取り量の多いトランザクションに使用

RAID 10

優秀

大変良好

普通

2N x X

データの多い環境(大きいレコードなど)

RAID 50

大変良好

普通

普通

N + 2
(N = 最低 4 つ)

中規模のトランザクションまたはデータ量が多い場合に使用

RAID 6

優秀

連続読み取り:良。 トランザクション読み取り:大変良好

ライトバックキャッシュを使っていない限り普通

不良

N + 2
(N = ディスクが最低限 2 台)

重要情報 データベース、および読み取り集中のトランザクションに使用

RAID 60

優秀

大変良好

普通

不良

X x(N + 2
(N = 最低 2 つ)

重要情報 中規模のトランザクション、またはデータ集中に使用

N = 選択した物理ディスク数
X = RAID セットの数

非 RAID

Storage Management では、不明のメタデータの仮想ディスクは非 RAID ボリュームと見なされます。 Storage Management はこのタイプの仮想ディスクをサポートしません。 これらは、削除するか、物理ディスクを取り外す必要があります。 Storage Management では非 RAID ボリュームの削除と名前変更が可能です。